最高裁判所第一小法廷 昭和40(し)85 決定
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
本件抗告の申立理由は、別紙各書面記載のとおりである。
まず、本件記録によれば、本件放火事件は、旧刑訴法(大正一一年法律第七五
号)の下において公訴の提起があり、かつ、終結した事件であることが明らかであ
るから、刑訴法施行法二条により、本件再審請求については、旧刑訴法および日本
国憲法の施行に伴う刑訴法の応急的措置に関する法律(以下、単に「刑訴法応急措
置法」という。)の適用があるものと解すべく、原決定も旧刑訴法の該当規定に準
拠し本件再審請求を棄却しているものである。
ところで、最高裁判所が抗告に関し裁判権を有するのは、裁判所法七条二号に
いう「訴訟法において特に定める抗告」に限られ、旧刑訴法によりなされた高等裁
判所の決定に対する抗告としては、刑訴法応急措置法一八条に規定するいわゆる特
別抗告だけであつて、旧刑訴法に基づく即時抗告の申立は許されていないのである
から(昭和二二年(つ)第七号、同年一二月八日第一小法廷決定、刑集一巻五七頁)、
原決定に対する本件即時抗告は許すべからざるものであり、また、かりにこれを刑
訴法応急措置法一八条による抗告と認めるとしても、(昭和四〇年一二月一二日附
申立人本人提出、同年同月一七日附代理人ら提出の各理由追加補充書は、明らかに
所定の抗告提起期間経過後の提出にかかるものであるから、判断を加えない。)所
論は、原裁判所の採証法則違背等、単なる訴訟法違反の主張並びにこれを前提とす
る認定非難に止まるものであつて、同条所定の適法な抗告理由にあたらないから、
この点においても不適法である。
よつて、刑訴法施行法二条、旧刑訴法四六六条一項に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり決定する。
- 1 -
昭和四一年四月一四日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 長 部 謹 吾
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 松 田 二 郎
裁判官 岩 田 誠
- 2 -